秋葉原の女神
明日はなんてことのない平日だが、土曜日に出勤した分の代休日となった。
僕は「健康優良不良青年」の気持ち”だけ”はもっているので、少し夜更かしでもして酒を飲みながらビデオゲームで遊ぶかと思ったものの、どうにも遊ぶ気力がなくポケポケしながら友人から賜ったバドワイザーとイチャイチャしていた。
3本くらいのんだあたりから、窓から見える向かいのマンションを眺めながら飲む酒に飽きてきたので、何となく昔の写真を眺めはじめた。
中学校卒業時に与えられたスマートフォンの写真たちが顔を出してくれる。塾のメンバーとの集合写真、カラオケの写真、高専入学初日の写真、今でも遊ぶ旧友たちとの初めての写真... そんな風によくある昔を懐かしむムーブをしていたら、2013年3月のアキバの写真がぼうっと表示された。
確か3度目の東京おのぼり旅行の時の写真。バイトもしていないであろう高専1年の春休みに初めてひとりで行った東京の写真か。
まだ無垢な気持ちで「東京でSEなりなんなりで働きたい」と思い、電波オタク学校に通っていた頃の写真である。
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ふと、右も左も分からない状態で秋葉原を散策していた時のことが蘇ってきた。
改札の出口が分からず、結局アトレの改札から出て電気街に出たこと。アキヨド前のマックの下にあったジャンク屋が何故か鮮明に覚えていること。名前だけしか知らなかったツクモに寄ったこと、「つくもたん」という非常に可愛く、清楚で、ツインテニーソ属性を兼ねそろえたPCショップの女の子のクリアファイルが1万円以上買うとついてくるため、わざわざDDR3のメモリを追加で買ったこと。DDR3に対応したマザボを持っておらずLGA775(当時でも旧ザク並みの立ち位置)でDDR3が使えるマザボを翌日買ったこと。
字面だけ見たらどうってことないけど、恐らく僕にとっては非常に刺激的で愉快で幸せな出来事だったのだと思う。本当に字面だけみたらよく分からないが。
てかどんだけ、つくもたんのクリアファイルが欲しかったんだ。バイトもしていなかったのに。
右も左も分からない状態で歩いて散策した秋葉原。田舎のにわかクソオタクには刺激が強すぎたのか、結局アキバに徒歩で行ける距離に引っ越してしまった。つくもたんにも毎日会えるからね。
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~ お知らせ ~
— ツクモ (TSUKUMO) (@TSUKUMOofficial) 2020年9月8日
この度、マネージメント契約終了にともない
ツクモ マスコットキャラクター
『つくもたん』
の展開を終了することとなりました。
11年の長きにわたり、
ご愛顧いただきました皆様に心より御礼申し上げます。
「つくもたん」今までありがとうございました❗️🙇♂️ https://t.co/TryQwjXyhw pic.twitter.com/LCVdd33vkr
しかし現実は非常に残酷である。
ようやく、10年近くの時を経て「つくもたん」に毎日会える距離に引っ越してきたというのに、彼女は秋葉原から姿を消すこととなった。
学生の頃から変わらずそこにいて、今後も一生ツクモが潰れない限りそこにいてくれると信じて疑わなかった彼女が消える。
僕の中にあった昔の自分と今の自分を繋げてくれるピースの1つが欠けてしまった。
そこにいてくれないと困るのに。
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別に彼女が街からいなくなったところで、僕の生活は変わらない。電車に揺られ、職場についてそつなく仕事をこなし家に帰る生活は変わらない。
ただ、モチベのひとつとして、そこにあった存在が消えてしまうのは何とも言えない気持ちになる。
デジ子がゲマズの看板から消えた時も、そう感じた人がいるのかわからないけど。
別に僕はそこまでオタクやっているわけではないし、何かを持っているわけじゃないけど。さみしいものはさみしい。
結局ビールも5本目となってしまった。糖尿病や諸々には気を付けないと流石にヤバい気がする。過労も過労で、結局今月も残業80hペースの労働を黙々とこなしている。我ながらタフであるが、このままだと数年後には多分倒れている(先輩や客のタフさはもっとヤバいが) メーカー系で残っている人間は本当に凄いタフだと尊敬する。
まぁ今日は寝るとする。酒が回って眠くなってきた。明日は明日の風が吹く。だが今日はたくさんねるぞ。すやすや。すやあ