素人志向

備忘録

大阪遠征 備忘

段々と夏、いや、梅雨の訪れを感じるような蒸し暑さになって来た5月27日の土曜日、急遽入れられたリリース作業を終えて東京駅に向かった。

平日はすし詰めとなっている中目黒行きの電車は閑散としており、今日が休日の夜という事を間接的に感じる車内で一人電車に揺られていた。東京駅から夜行バスに乗り、大阪に向かう。新幹線でも良かったが、安いし旅情もある夜行バスを選んだ。土曜も月曜も仕事が入っているから、かなりの弾丸旅行ではある。ただ、それでも行かねばならないと思いバスに乗り込んだ。初めてTwitchで「好きな配信者」と言える人のライブ。4月も諸事情で断ったため、今回を逃したら次はいつになるか分からなかった。

 

バスに乗ると、奇麗な3列シートの座席が並んでいた。身体が大きいから4列バスに乗るのは厳しい。「グランドリーム」という如何にもよく寝れそうな名前のバスだった。

本来であれば酒でも飲みながら優雅に一人の時間を過ごしたかったが、夜行バスでの飲酒は基本NGな気がするから炭酸水とランチパックだけ持って乗り込んだ。バスが動き出して、少し経った後、たまご味のランチパックを開けてムシャムシャと食べ始めた。普段食わないランチパックを食べただけだが、ちょっとした非日常を感じた。非日常ってのは日常にはないことだから、こんな事でも非日常なのである。そういう小さな非日常を楽しむのが俺にとっての些細な喜びなのだ。

 

そうして一息ついて、気が付いたら眠気が来たのでサクッと寝た。起きたら京都駅だった。数名がダラダラと降りて行って、その後バスは大阪に向かった。自分の友人たちが待っている大阪に近づいているという事実だけで気分はかなり高揚した。割と大阪には行っているが、それでも未だに大阪は東京以上に特別な街だったりする。東京に住んで6年以上経ち、そろそろ自分の中で特別な街ではなくなった。あれだけ好きな秋葉原も日常の街となってしまった。大阪は自分にとって日常とは程遠い街であるからこそ、いつ行っても楽しみな気持ちになる訳だ。

 

梅田

大阪駅に着いたバスを降りて、飯とタバコとコーヒーを求めて阪急側の地下に向かった。友人と以前歩いた時に「英國屋という喫茶店が良い」と言ってたのを思い出し、ロクに地図も見ずにブラブラと向かう。右に並ぶエスカレーターに未だ戸惑いつつも、ダラダラと街を歩いた。個人的には朝の人が少ない時間の街を歩くこの時間が非日常であり贅沢とも感じる。淡々と目的地へと向かう他人を横目に、キョロキョロしながら街をひたすらに歩く。見たことの無い店や広告、イントネーションの違う人たち、バスに乗って降りただけで色んな刺激がある。とても良い事だ。

 

目的の喫茶店に着く前に、別の喫茶店を見つけた。バスに乗ってる時にスマホで調べていたが、喫煙者向けの喫茶店と書いてあった気がする店だった。店の前に出ている「モーニング」のメニューにホットサンドがあった。550円、このご時世と考えると中々良いコスパだなと思い入ってみることにした。一人ならこういう予定変更をしても誰にも文句言われないから楽だ。

店内は如何にも喫茶店といった雰囲気だが、あくまでもチェーン店であることが分かる小綺麗さもあった。先客も数名いた。ウェイトレスに案内され二人用の席に座り、電子タバコに火をつけた。熱されたメントールの煙で一息つきつつ、慌ただしくなる一日の事を考えていた。

 

しばらくしてやってきたホットコーヒーとホットサンドとゆで卵を喫食してサクッと次の目的地に向かった。ライブの時間まで時間があるからと、十三に住んでる友人を道頓堀まで呼び出してダーツをすることになった。御堂筋線で難波に向かう。梅田と難波、いつ聞いても良い響きだと思う。

その後、友人と落ち合いダーツを3時間程度やった。普段ネットで遊んでるとはいえ、やはりオフラインで遊ぶと尚更楽しく感じるものである。自分はインドア派ではあるものの、オフラインに敵うものはないというZ世代からすると前時代的な思考を持っているが、それが揺るぐことはない。友人と黙々と投げ合った後にふと彼が言った「良い週末だな」という言葉が印象に残っている。酒も飲みたかったが我慢した。経験則から、この時間に調子を乗って酒を飲むと夜には完全に使い物にならなくなることが分かっているから。

 

日本橋

その後、友人と一緒に日本橋まで向かった。彼はライブに来ないが、お前は迷子になりそうだからと一緒に現場までついてきてくれた。彼のこういうところは律儀だと思う。

しばらくすると関東勢の他のメンツと落ち合った。知らない人もいたが、話を聞くといつも配信でコメントしている奴だった。ネットでしか存在を認識していない人間が目の前にいると、やはりインターネットの人間もひとりの実在する人間であるという事実を改めて痛感する。まぁ、それが好きなのかもしれない。

開場まで時間があったからでんでんタウンを散策した。初めて来たときの日本橋と雰囲気は変わりつつあった。ネジ屋が閉店するとチラシが出ていたが、こういうものを見ると電気街としての役割が徐々に失われつつあるように感じてとても悲しい。

そんな事を思いながらブラブラして、ライブ会場に戻って来た。引率してくれた友人に礼を言って会場に入った。

 

ライブ

ライブ会場は珍しい3階建ての構成だった。ライブハウスというものをイメージしていたが、初めて見る雰囲気に少し圧倒された。新宿近くのライブハウスとかとは全く雰囲気が違って驚いた印象はあった。料金を支払って適当に散策する。ビールがあると思ったが、置いてなくて若者はやはりビールを飲まないのか?と少し残念に思っていた。俺の人生の中でビールがどれだけウェイトを占めているのか。酒くずみたいで嫌になるが、まぁ本当にビールが好きなんだろう。

 

3Fに上り、怪しい扉を開けると雑居ビルの中をライブハウスにしたような雰囲気の会場が出てきた。奥には生ハムの原木が置いてある。主催が持ってきた生ハムの原木。よくたこ焼きとか素麺が置いてあるのは見たことあるが、生ハムの原木は初めてだった。インパクトは確かにあった。

だらだらと引き換えた酒を飲んでいたら爆音が鳴り響いた後開演した。細かい感想は他の人が述べてくれているから割愛するが、パフォーマンスの良さとかそういう物の前に「私はこれが好きで、この曲が好きで、今まで歌を歌ってきて」みたいなバックボーンがヒシヒシと感じるライブだった。来ているファンやMC含めて、そういう物を何故か強く感じた。色んなライブに行ってきたが、コロナ明けというのもあったのか全員それぞれのスタイルでこのライブに対して本気でやってやろうという気概が見えた。パフォーマンスの慣れやMCの上手い下手はあるにしろ、その気概を見るのが何よりも楽しかった。仕事や人間関係で疲弊しつつある自分に一番刺さるものだった。

出演者の1組は、結婚式にも招待頂くくらいの仲で、その後の二次会でも歌を聞いたことはあったが、やはりライブとなると全く訳が違った。プロではないにしろ、そんなことがどうでもよくなるくらい圧倒された。「歌が好き」と言って活動している人間の本気を見た。知り合いにもパンクロックをやったりDJをやっているメンツがいるが、彼らの熱意とはまた違うベクトルの熱意を初めて見た。まぁ具体的な表現を長くなるから今回は割愛しておく。こういう話は飲みの場で言うくらいがちょうどいい。

 

その後、酒を飲んで、酒を飲んで串カツ食ってバスに乗って帰った。色々書きたいところではあるが、もう3000字を超えてしまったし、どこかのタイミングで書く機会があったらちゃんと書こうと思う。身体はバキバキにはなったが良い経験だった。次も参加できるか分からないしな。