郷土のデパート
クラス会の帰りに、久しぶりに地元のデパート「鶴屋」に寄った。
リュック以外にまともなバッグが無かったので、良いのがあったら買おうかなと。
幼少期の頃、母や祖母に連れられてきていたデパート。
買い物ついでに思い入れのある場所にも寄ってみた。
祖母と鶴屋に行くと、おもちゃ売り場でトミカを一台買ってくれて、買った後にファミリーレストランでざるそばをご馳走してくれた。幼少期の自分にとっては、それが何よりの楽しみだった。
今じゃ、ただのデパートにしか感じないんだけれども、当時は何故あそこまで気分が高揚していたんだろう。
最初に寄ったおもちゃコーナーは、当時の5分の1程度の規模しかなかった。
10台が同時に走っている様な、プラレールのジオラマがあった面影なんて皆無。
哀しいくらいこじんまりとしたおもちゃコーナーなってしまって、哀愁を感じるなど。
どのプラモデルを買うか悩んで、祖母を待たせたあのおもちゃコーナーはもうないんだと。
徹夜明けで、朝も食べないまま昼になってしまったので、ファミリーレストランで「ざるそば」を食べる事にした。大好きだった、鶴屋のざるそば。飯が出てくるまでに机の上でミニカーを転がしていた思い出が懐かしい。
十数年前の美味しさを期待していたが、実際に出てきた「ざるそば」は酷いものだった。
麺はベチョベチョ、汁は雀の涙と言わんばかりの量。写真を見てもらえれば分かると思うが、ネギも、もうちょい何とかならなかったのか。
俺の思い出の「ざるそば」はどこにいったんだろうか。
店員さんは愛想よかったので、それだけでも救いだった。
飯を食った後は、屋上遊園地だった場所に行った。
見事なまでスッキリした屋上で、数分間だけ黄昏てから、地階に向かった。
だって何もないもん。ゲームも乗り物も。好きだったF1みたいな乗り物もない。
となりに女の子がいれば、他愛ない話で盛り上がってたのかもしれんけど。
色々と変わってしまっていたけれど、地階の階段下の飲み物売り場だけは変わっていなかった。ミキサーで作った新鮮なジュースを売るお店。帰る前に、そこでソフトクリームを食べるのが好きだった。
流石におばさんと並んでまでソフトクリームを食べるほどの度胸はなかった。
本当に狭いお店だからね。
結局、鶴屋を覗いたあとはそのままバスに乗って帰った。
十数年も経てば思い出の場所も変わっていくよなと思いつつ、郷愁を感じた次第。
本当に熊本を離れるという実感がない。この程よい雰囲気が好きなんだけどな。
今日は、天草に釣りにいきます。